美容皮膚科医@銀座のベルです。
紫外線を防ぐのは、効率がめちゃくちゃいい美容法って知ってました?
光老化という言葉をご存知ですか?“ひかりろうか”と読みます。
紫外線が原因で生じる老化のことを光老化と言います。
この光老化と普通の年齢による老化を一緒と思っていませんか?
実は光老化の方が、“残念な感じ”に老けます。しかも皮膚の加齢の80%が紫外線による光老化と言われています。びっくり!
・紫外線予防は効果の高いアンチエイジング
・日焼け止めは、たっぷり・頻回に塗る
・敏感肌の人は日焼け止め成分に気をつけよう
・普通肌の人は考え方や好みで、日焼け止めを選ぼう
今回は紫外線による光老化、防ぎ方、よくある勘違いなどについて説明します。
Contents
紫外線による光老化の特徴を解説
光老化と年齢による老化の特徴を比較
紫外線による老化は、年齢による老化より残念に老けると言いましたよね。
それの分かりやすい写真がこちらです。
(出典:Unilateral Dermatoheliosis,The New England of Journal of Medicine)
2012年にThe New England Journal of Medicineに掲載された、25年間トラックを運転していた69歳の男の人です。アメリカは真っ直ぐな道が多いので、常に左ばっかり紫外線を浴びていたのです。
お察しの通り、この人の顔はこのように老化しています。
・右:年齢による老化
・左:年齢による老化+光老化
写真からもわかる光老化の特徴を言葉にまとめると、こんな感じです。
光老化は年齢による老化よりも、
・シワが深く刻まれる
・ハリ感がなくなる(→タルミにもつながる)
・シミもより大きく色むらのある汚い感じになる
・皮膚がんに圧倒的になりやすい
(こんな風に歳を重ねるのは、嫌よ・・・)
光老化の怖さがわかっていただけましたか?
ここからが、私が大切と思ったこの論文のポイントをさらに解説します。
光老化の論文をさらに深く解説
(出典:Unilateral Dermatoheliosis,The New England of Journal of Medicine)
紫外線に対して説明
少しだけ紫外線について解説します。
地表に到達する紫外線で人間に害となるのは、主にUVA,UVBです。
UVAはより深いところ→赤くなりにくいが、タルミ・シワ・ハリなどに関連。
UVBは浅いところ→日焼け後の赤さはこれによる。シミや色に関連
さらに最近では近赤外線、可視光線、ブルーライトによる光老化も報告されているので、気をつけましょう。
ガラスを突き抜けるUVAの恐ろしさ
さて、この写真の男性は車の中にいました。要するにガラスを通しているのでUVBはほとんど浴びておらず、UVAでここまで老けてしまったのです。
ちなみにUVBを浴びるともっと光老化が加速して、シミが増えます。
窓ガラスも同様にUVAは通すので、室内でも日焼けどめが必要ということを証明してくれいていますね。
レノチノールが皮膚がんの予防にも推奨されている
日焼け止めとレチノールを使うことが皮膚がんの予防に大切と書かれています!!
私の大好きレチノールがここでも登場。
↓レチノールって何だ?という方はこちらの記事読んでね
レチノールは自分の肌の細胞を元気にしてくれるから、皮膚がん予防にもなるということです。
(補足:すでに出来てしまった腫瘍やがんには効果ないです。皮膚科医の指示に従って治療を受けてください)
また2003年のJournal of Investigative Dermatologyでは、
肌に十分な量の(パルミチン酸)レチノールがあると、SPF20相当の紫外線保護の作用がある。
と発表されています。
(知れば知るほど、好きになっていくレチノール)
後述しますが、飲む日焼け止めはSPF4とかです。それと比較するとすごいですよね、しかも汗かいても落ちないし。
↓私の愛用しているエンビロンは、パルミチン酸レチノールがメインで入ってますよ。
↓飲む日焼け止めに関してはこちら
光老化を防ぐための対策
紫外線による老化、怖いですよね。
でも年齢による老化に比べて、紫外線を避けるという単純な対応で、光老化は防ぐことができます。
紫外線に当たらない工夫が基本的な防御
「原始的かっ」と突っ込みたくなるかもですが、なるべく肌に紫外線が当たらないようにすることはとても有効。
「そんなことは知っている」と思ったかもですが、少し工夫するだけでも違いますよ。
日の強い時間帯の外出を避ける
帽子やサングラスをつける
長袖を着る(95%紫外線カットできる)
紫外線大国のオーストラリアの大使館が紫外線対策について、日本語で細かく書いかれてくれてます。とても参考になりなるので気になる方はどうぞ↓
基本的な日焼け止めのルール
日焼け止めに関して一番大切なのは、正しく使うことです。
SPF30以上あるものを使用する
SPF15でもいいとも言われていますが、個人的には30以上がおすすめ。
室内にいるときも、屋外の10ー20%の紫外線を浴びていると言われているので、日焼け止めは使いましょう。
屋外に長くいる時や、紫外線の強い場所に行くときはSPF50でウォータープルーフのものを使うなど工夫しましょう。
十分な容量を塗る
顔に対してはパール粒2つ分が適量と言われています。これ実際試してみるとかなり多いです。
まず1粒分を顔全体に塗り、もう一回1粒分を顔全体に塗るという塗り方がムラができにくくおススメです。
こまめに塗り直す
2ー3時間に1回塗り直すことが勧められています。実際めんどくさいですが、出勤の前、昼食の前、帰宅前のように習慣化するとズボラな私でも出来ています。
日焼け止めは摩擦などでも取れやすいので、注意しましょう。
日焼け止めで大切なルールのまとめ
普通のトラブルがあまりない肌であれば、これらを守ってもらえば何の日焼け止め使っても個人的には構わないと思います。
・SPF30以上(冬などは15も可)
・十分な量を塗る
・こまめに塗り直す
・頑張って高い日焼け止めを買う→もったいなくて十分量使えない
・成分にこだわり過ぎて使う心地が悪いものを買う→あまり塗りなおせない
とは言え次で後述しますが、日焼け止めの成分に関しては興味深い報告もあるので、気になる方は成分にもこだわってください。
肌によりよい日焼け止めの成分
日焼け止めの成分は大きく分けて2種類
紫外線散乱剤:酸化亜鉛、二酸化チタン
光を乱反射することで、紫外線を防御。安全性が高いが、きしみ感や白浮きしやすい。
活性酸素・フリーラジカルが出にくい。
紫外線吸収剤:オキシベンゾンなど多数(紫外線散乱剤の2つ以外ほぼ全部)
紫外線を熱などのエネルギーに変換する。その際にフリーラジカルが生じる。
接触性皮膚炎など皮膚トラブルを起こしやすい。色んな形状の日焼け止めに配合しやすい、透明感がある
日焼け止めの成分が血中に移動する可能性
最近では、皮膚に大量のオキソベンゼンなどの日焼け止めの成分を塗ると、血液中でもその成分が増加することが確認されています。(日常生活では使わないほど大量の日焼け止めを用いている実験しているので、私たちの生活には問題にならない可能性もあります)
それに伴い、2019年の2月にアメリカのFDA(化粧品や美容にすごい権威のある機関)のあるは日焼け止めの成分に対して、以下のような規制と表明を出しています。
近年使われている日焼け止め成分16種類を分類。
安全で効果があるもの:酸化亜鉛、二酸化チタン
避けたほうがいいもの:PABA、トロラミンサリチル酸
そのほか12種類についてはなんとも言えない。
(FDA advances new proposed regulation to make sure that sunscreens are safe and effective)
ただ基本的には、
日焼け止め成分により害<<<紫外線による害
と考えていいと思います。
もちろん安全な酸化亜鉛や二酸化チタンが主成分ぼ日焼け止めを、十分量、頻繁に塗り直すことがベストです。
しかし実際は、値段が高かったり、白浮きするから塗りにくかったりなど問題は色々あります。
まだ日焼け止めの成分の安全性に関しては、結論が出ていないので、その辺は個人の選択になるかなと思います。
私はラロッシュポゼを愛用しています。
色付きもファンデやBB未満日焼け止め以上でおすすめ
日焼け止めの成分にこだわって欲しい人
例外として、角質層の調子が悪くバリア機能が落ちている人は、日焼け止めの成分が肌の奥に入っていきやすいので、成分に気をつけた方がいいでしょう
このような人は、紫外線散乱剤のFDAで安全と認めている酸化亜鉛や二酸化チタンが主成分の日焼け止めをおすすめします。
私は美容医療で攻めた後やA反応が出ているときは、念のため成分が安心なこの2つを季節により使い分けています。
アクセーヌの技術も素晴らしいと思います。日本で初めて、紫外線散乱剤のみの日焼け止めを作ったメーカーらしいです。
ウォータープルーフなのに、紫外線散乱剤のみで石けんで落とせます。
黄色っぽいベージュはよくありますが、ピンク色で成分もいいって珍しいです。
そのほかの商品も全て、紫外線散乱剤のみという徹底ぶりです。アクセーヌは種類も豊富でおすすめです。(NOV使い終わったらこっちに変える予定)
エトヴォスも有効成分がたくさん入っていて、紫外線散乱剤のみです。
ヒト型セラミド配合で、さらにトラネキサム酸も入っているので、肝斑のある人にはおすすめ!
まとめ
・光老化は年齢による老化より残念に老ける
・光老化は紫外線対策で予防できる
・日焼け止めはたっぷりと、頻繁に塗り直す
・日焼け止めの成分に関して安全と言い切れるのは紫外線散乱剤の2つだけ
・他の成分は研究中だが、基本は成分による害<<光老化
・普通肌の人は、成分・値段・使い心地などのバランスを考えて決めましょう
・敏感肌の人は紫外線吸収剤を使っていない日焼け止めを選びましょう