なんとなくフェイスラインが乱れてきた気が・・・。
ほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットライン、こんなにあったけ?
タルミは必ず誰しもが経験し、上手にお付き合いしてくものだと思っています。
今回は、たるみのメカニズムに関して解説します!
どうして、たるむのか。を理解すると、治療編も分かりやすいから説明するね。
とりあえずタルミは、それぞれの層でそれぞれのことが起きるから、大変!
この記事を読んで分かること
・たるみが起こる大まかな仕組み
・真皮のコラーゲンとかエラスチンって何?
・脂肪は多いのと少ないのでは、どっちが老けにくいか?
・顔の筋肉は鍛えた方がたるみにくいの?
・リガメントってよく聞くけど何?
・骨の老化ってそんなに起こるの?
※画力のなさが炸裂していますが、少しでも分かりやすくなるといいなという奮闘の結果です(笑)
Contents
【顔のたるみの原因】3分で分かる!皮膚・顔の構造とたるみの関係
【たるみの原因】顔のそれぞれの層の老化
人の顔を上からみると、こんなミルフィーユのような構造になっています。
上から順に、超簡単バージョンで説明するとこんな感じです。
角質
お肌のラップ(保護機能)
表皮
メラニンなどがいるところで、肌色に最も関係。
上の2つに関しては、たるみとはあまり関係ないですが、気になる方は以下で詳細をどうぞ
真皮
ハリ感に直結する部位。
コラーゲンとかエラスチンが存在。
医療以外のケアでなんとかなるのは、この辺りまで。
私の好きなビタミンAとビタミンCも、真皮に効果あります
浅層の脂肪
重力に負けて、下がってくる。
脂肪の質も、加齢とともにスカスカになる。
筋肉
SMASと表情筋があり。
ゴムに例えると、若い頃のやわからくて柔軟性があったのに、老化とともに硬くなってしまうイメージ。(筋肉の拘縮)
表情筋を鍛えた方がいいかは、医師としては反対派が多いが、まだ色んな意見がある。
私も反対派です。詳しくは後述します。
深層脂肪
ある場所とない場所がある。
浅層脂肪よりは、垂れにくい。ボリュムロスが、骨格の変化→たるみになる。
骨
骨も縮む(骨萎縮)。
同じように萎縮するわけではなく、顔の骨の中でもコメカミ・ゴルゴライン周囲・顎先など萎縮しやすい部位がある。
体質によっては、20代からでも始まる。
靭帯(リガメント)
骨膜から真皮に向かって、靭帯が木の幹と枝のように支えている。
靭帯に関しては、イメージつきにくい人はこういう向きで考えてみてください。
私たちが普通に立っているときの構造がこうです。
黄色の矢印が重力で、重力に逆らって、靭帯が支えてくれているイメージ。
【たるみの原因】全ての層の影響が絡みあって生じる
たるみはこれらの、それぞれの層でそれぞれに起こります!
「たるみは、あらゆる層の同時多発テロ」と表現される先生もいます。
全部の層を回復できる魔法のような治療はなく、それぞれの治療法がそれぞれの場所(層)をターゲットにしているイメージです。
(色々な層に聞く治療もありますが、その分効果は弱くなります)
どの層を優先的に治療するかは、人それぞれだし、先生ごとにいろいろな考えがあります。
たるみの治療って頑張って治療しても、またたるんじゃうよね?
生きている以上、たるみを全くゼロにすることは無理だよ。
たるみは老化現象なので、生きている以上、進行をゼロにすることはできません。
なので、どんな治療をしたとしても、たとえ時計の針を巻き戻す治すような治療をしたとしても、その瞬間からたるみの針は進み始めます。
(時計の針を巻き戻すような治療は、ダウンタイム、痛み、費用、侵襲性などがかさむことも多いです。)
普段からできる限り、老化の速度を遅くするよう心がけるのもとても有効だと思います。
自宅で老化を遅くする対策は、
・紫外線ダメージを減らす
・摩擦によるダメージを減らす
・アンチエイジング作用のある基礎化粧品を使う
(おすすめはビタミンAとビタミンC)
・食事・睡眠・ストレス等に気をつける
↓紫外線対策に関して
↓おすすめ成分ビタミンA(レチノール)
↓おすすめ成分ビタミンC
↓食生活に関する心がけはこちら
クリニックでの治療は、別記事にしますね。
おまけ:たるみをミルフィーユに例えてみた
お肌のミルフィーユ構造を説明しました。
たるみの治療を、「ミルフィーユを美味しくすること」に例えてみました。(作ったことないけどねw)
クリームだけにこだわっても、確かに美味しくはなる。
でも他のクリームや具材が美味しくなかったら、全体としての美味しさには限界があり。
もちろん不味い部分がないミルフィーユというだけでも、美味しく感じる。
ミルフィーユを効率よく美味しくするには、全ての層を一定レベル以上にするのが、簡単な場合が多い。
でも少し不味い部分があっても、他の部分がすごく美味しいと、全体として美味しいミルフィーユになる。
さらにクリームとパイ生地では、美味しくする方法が違う。(少し関係し合うこともあるけど)
それぞれのお店のミルフィーユによって、改良すべき部分が少しずつ違う。
【顔のたるみの原因】真皮とたるみの関係を詳しく解説
真皮はよく“ベッドのマットレス”と表現される
皮膚はよく、ベッドに例えられます。
色に関係するシーツが表皮。ふっくら感に関係するマットレスが真皮。
マットレスのクッションがコラーゲン(膠原繊維)、スプリングがエラスチン(弾性繊維)です。
まさにお肌のクッションで、マットレスが分厚いほうが、ベッド全体がふっくらします。
(真皮が分厚いと、お肌がふっくらして見える)
実際の厚さは1mm。背中などで5mmと言われています。
表皮に比べるとだいぶ分厚いですが、脂肪や筋肉などの皮下組織にくらべると薄いのも事実です。
なんとなくイメージできたら、実際の真皮の構造をみていきます。
真皮の成分とたるみの関係
真皮を構成する物質は、こんな感じです
膠原線維(コラーゲン)
真皮の90%を占める物質。
そのうちコラーゲンが75%。中でも一型コラーゲンが大部分
コラーゲンの新陳代謝は5ヶ月
皮膚全体をささえる支持組織なので、イメージはベッドの綿。
老化により量が減るだけでなく、質が悪くなります。
質が下がると、皮膚が自分自身の重さに耐えきれずにたるむといわれています。
弾性繊維(エラスチン)
真皮の2ー3%を占める
そのうち大半がエラスチン。
エラスチンの新陳代謝は3年
エラスチンの特徴は伸びることなので、ベッドのスプリング
こちらも老化とともに量が減るだけでなく、質が悪くなります。
これが減るとたるむだけでなく、外力にもたえられなくなるので、すこし引っ張るだけで皮膚が皮向けしてしまったりします。
※実は光老化によりエラスチンが実は増えるんですが、変な形のエラスチンなので、うまく働きません。
基質
線維の間に存在するゲル状の物質
ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などを主成分にしていて、大量の水分も持っている。
ヒアルロン酸は大きな物質なので、塗っても真皮に届きません。
なので塗るヒアルロン酸は、真皮の状態改善やハリ感には関係しません。
線維芽細胞
真皮の線維や基質などほとんどの成分を作り、そして古くなったものを破壊する細胞。
想像通り、線維芽細胞が老化により弱ると、この新陳代謝がうまく回らなり、たるみに繋がります。
真皮の構造とたるみの関係
真皮の構造
真皮の構造は、大体こんなイメージです。
乳頭層
美肌、ハリ感にとっても重要な部位です。
理由は、図のような表皮にむかったウネウネ!!
・ウネウネの中の血管が、表皮に潤いを(グリコサグリカンなど)渡している→肌の潤い
・ウネウネが平坦になると、たるみに繋がることが判明
ウネウネがなくなると表面積が減るので、表皮への栄養や保湿成分も減ります。
ウネウネがなくなった皮膚はこんなイメージ。
紫外線による光老化でも、ウネウネ減少が有名なので、要注意。
乳頭下層
乳頭層ではフェルト状の膠原繊維が、ここで太い束になってくる
網状層
さらに膠原線維も弾性繊維も太く、規則的に配列
【たるみの原因】真皮の状態は自宅ケアでも改善するのか?
自宅でのケアできないものが多いなんちゃって商品が多いですが、ビタミンA、Cや一部の成分はここも改善します。
クリニックの治療だとここをターゲットにしているものは、すっごくたくさんあります。
(後ほどブログにします)
真皮、特に乳頭層のケアがたるみの治療の要、という意見も多いです。
※私は個人的には、そうは思っていないです
【顔のたるみの原因】脂肪とたるみの関係を詳しく解説
顔の脂肪の構造
浅い層の脂肪の構造
脂肪に関しては浅い層にあるものは、こんな感じです。
(ここはけっこういろんな説があるので、なんとなくイメージしてもらえれば)
(出典:Retaining Ligaments of the Face: Review of Anatomy and Clinical Applications)
簡易バージョンで書いたのが、こちら。
ポイントは斜線部の脂肪が分厚くなること。ほうれい線、マリオネットラインの位置ですね。
浅い脂肪は、下垂してくることが問題になります。
深い層の脂肪の構造
深い層の脂肪の簡易バージョンはこちら。
深部脂肪はボリューム減少が、たるみ・老化につながることが多いです。
(もちろん下垂もしますが)
頬の高さにつながってくるのが、頬の深部脂肪の量です。
加齢とともにここが減少すると、若々しさが減少します。
あとは眼球の真下の脂肪を他の組織が支えられなくなり、突出してくることで、目袋がめだってきます。
脂肪がたるみに影響する理由
・脂肪が落ちてくる←重力に負ける
・脂肪が減って足りなくなる←容量減少に真皮が追いつかない
・脂肪自体が劣化する←固茹でプルプルのスクランブルが半熟になる感じ
難しいよね。人それぞれで違うと私は考えているよ。
脂肪が多すぎても、重みで落ちてきやすくなる。
脂肪が少なすぎても、足りなくなることで、コケ感や頬の高さなど輪郭に影響が出てきます。
脂肪減少に真皮が追いつかなくて、皮膚が余ってしまいたるむこともあります。
同じ体型の人でも、顔の脂肪のつく量はひとそれぞれなので、自分なりのベストな脂肪量を見つけるのが大切、と個人的には思います。
【顔のたるみの原因】筋肉とたるみの関係を解説
筋肉はなかなか、想像が難しいです
まず、SMASと表情筋の2つに大きく分けられます。
表情筋の構造と働きについて解説
表情筋の特徴
・上記の図のようにすごく複雑
・動き方も、体の筋肉よりも複雑
表情筋とたるみのイメージ
顔の筋肉は老化により、硬くなってしまって、動きの幅が狭くなってしまうことが老化につながります。
また筋肉よりも、他の組織の方がボリューム減少しやすいので、より筋肉の筋ばった感じが目立つとも言われています。
分かりやすい例が、顎の梅干しジワです。
年齢とともに、常にそこに力が入ってしまい、自力では滑らかな状態に戻りにくくなる人が多いですよね。
表情筋は鍛えた方が、たるみにくいのか
表情筋は確かに理論上は、鍛えた方がいい部位もあります(大・小頬骨筋)。
でも、顔の筋肉ってすごく複雑なんです。
表情を作るとなると、色んな筋肉が複雑に調和しあっている。
しかも個人個人で、筋肉の使い方のクセもある。
だから、「この表情をすると、全ての人が上手いことこの筋肉だけが鍛えられますよ」って理論的には難しいと私は思ってます。
さらに、表情を強く作ると、表情ジワが寄りますよね。
だから表情ジワを加速させて、結論老けてみるようになるリスクも高いです。
※顔の筋肉鍛える系の美顔器でも、本人たち曰くせいでエラの筋肉・梅干しジワなどが増えた。という患者さんも数名いました。
SMASの構造と働きについて
SMASは、顔の大部分を覆う筋膜です。
正確にいうと、側頭筋(頭の横)から広頸筋(首)までを覆っています。
これが、後述するリガメントに支えられて、ピンと張っています。
よくトランポリンに例えられます。(支柱がリガメント、布がSMAS)
この張りが緩んでくることが、老化につながると言われています。
【顔のたるみの原因】靭帯とたるみの関係を徹底解説
リガメントの働きと構造
靭帯(リガメント)は柱のような働きをしています。
靭帯はこんなかんじで存在しています
老化により右側のように下垂してきてしまうのが、たるみに繋がります。
どうして下がってきてしまうかは、想像しやすいと思います。
・時間とともに下がる
・支えているものが重い(主に問題になるのは浅層脂肪)
・振動がかかる
・強い外力でひっぱられる
エビデンスがあるわけではないですが、理論的には振動がたくさんかかるスポーツなどなたるみやすい、という意見も多数あります。
強いマッサージに賛成しないのも、表皮の問題(肝斑やバリア機能など)だけでなく、このリガメントをなるべく保護したいからです。
【顔のたるみの原因】骨とたるみの関係を徹底解説
たるみにつながる、骨の老化とは
一般的には骨萎縮といって、骨が減っていくのが骨の老化です。
骨の老化ってイメージ湧かないなって人のために、以下の写真がイメージしやすいです
骨の老化は、起こりやすい部位があります。
それが以下の図です。
なぜ平等ではなく老化しやすい部位があるのかは、まだ不明です。
発生学的な理由、骨にかかる負荷の有無などが議論されています。
骨の老化の速度も体質が強く関係している
体質では20代からなる人もます。
一方で老化しにくい骨、骨格の人もいて、そうゆう人たちが老けにくいのも事実。
確かに、20代では真皮の状態はほぼみんないいはずなのに、20代でも中顔面(ゴルゴライン周囲)のボリュームが減ってきて、疲れた感じの印象の人もいますよね。
一方で、アラフォーであまりケアしていない人でも、若々しく見える人は少数ですがいます。
骨老化しやすい人と、しにくい人に関しても、原意は不明ですが、遺伝的要素が大きいと言われています。
それを認めて、他の部分を頑張る・骨の減少をフィラーで補う・骨老化しにくい工夫をする、しかないです。残念ながら、魔法のような治療はないです。
治療に関しては、後日記事にしますが、ざっくり言うと以下。
より一層、骨より上層の組織を良い状態に保つ。
ヒアルロン酸・レディエッセなどのフィラーを深部に入れる
顔の骨の老化予防に関しては、微力ですがテノールなどで対応
また食生活などが、どのくらい予防に影響するかは不明。
理論的に考えると気をつけた方がメリットはあると思いますが、劇的な効果はないと思います。
たるみの治療総論はこちらからどうぞ
参考文献
上記の論文
Bella Pelle vol2 no4
PEPARS no147
スキンケア最前線
実践フィラー注入テクニック